中華チマキ:粽子(ズォンズ)の話

2000年4月から二ヶ月に一回、『Yokohama Bay Side Wave』の
メールマガジンに中華街の季節情報記事を書くことになりました。
題して、”ちゅんの中華街マイブーム!”
こちらのコーナーではメールマガジンに入稿した文章に
写真・イラストを追加してご紹介します。
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ちゅんの中華街マイブーム!〜春〜  2000年4月号
  毎年旧暦の5月、端午の節句の頃になると横浜中
  華街には季節限定の中華チマキを販売するお店が
  増えてきます。この季節限定という謳い文句に弱
  い私は、各店をまわってチマキを食べ比べて季節
  感を味わうのですよ、とても楽しいですよ!

  最近では店先のせいろで肉まんと一緒に蒸したて
  のチマキを販売しているお店が多く、通年チマキ
  を楽しむことができますが、端午節の頃に登場す
  るチマキはひとまわり大きくて、私たちが日頃
  「中華チマキ」として親しんでいるものと、少し
  中身が異なっています。

  なんといっても特徴的なのは鹹蚤(シェンタン)
  というアヒルの卵の塩漬け(黄身)が入っている
  こと!この卵、慣れると病み付きになる美味しさ
  なのですが、ちょっと癖がある(はっきりいって
  少々臭い!)ので、覚悟して挑戦してみてくださ
  い!繰り返しますが、慣れると病み付きになりま
  すよ…

  以前『ジュラク』という店で季節限定の中華チマ
  キを買おうとしたら、塩卵入りのチマキは日本人
  のお客様には癖があるので普通の肉チマキ(これ
  も季節限定!)を勧められましたっけ…両方買っ
  て帰ったら、どちらもすごく美味しかったです。
  大丈夫ダイジョーブよ!



写真左がピータン、右がシェンタンです。
  通年買える中華チマキにも、塩卵の入っているものがあります。
  ”李さんのチマキ”、といって中華街大通りにある『有昌』や『公正和』、関帝廟通り『祥龍』
  で購入することができます。『聘珍茶寮』の”聘珍特製広東チマキ”も以前はいつでも買えたの
  ですが最近は季節限定メニューになってしまったようです、おいしかったのに!

  ”李さんのチマキ”(800円くらい)には、塩卵の黄身のほかに、緑豆や豚肉、干し貝柱etcが
  入っていてボリュームたっぷり。
  ”聘珍特製広東チマキ”(600円くらい)には栗や柔らかく茹でたピーナッツが入っていたり
  して、どちらも他ではなかなか味わえないものなので、中華街に立ち寄った折に試しに買ってみ
  ることをお勧めします。

  ”李さんのチマキ”左の写真、大きいほうが塩卵入り、小さいほうが普通の肉チマキ   ”聘珍特製広東チマキ”(左)と『聘珍茶寮』の普通のチマキ(右)
  この中華チマキ、ルーツは紀元前278年に遡ります。   その昔、楚の”屈原”という愛国詩人が左遷されて失意のうちに池に身を投げたのですが、人望   の厚い人だったそうで、楚の人々は悲しみ、体が魚に食べられてしまわないように毎年、命日の   5月5日には竹筒に米をつめて池に投げ込んで祭ったのが始まりだそうです。   日本でも、端午の節句は万葉集の頃から歌に詠まれている歴史のある行事で、チマキは最も古い   お菓子(そう、日本のチマキは軽食というよりは砂糖きなこをまぶして食べるお菓子ですよね)   の形を残しているとか。5月の節句にチマキを食べると無病息災、というのは有名な話ですね。   さて、とりとめなくチマキの話を並べてみましたが、最後に今年の1月に広州を旅行した折に広   東チマキのメッカである街を訪ねた話でしめくくりましょう。   広州市街からバスに揺られて2時間ほどで肇慶(チョウケイ)という街につきます。   肇慶は端渓すずりの産地として有名ですが、実はチマキのメッカなのだそうです。ガイドブック   では全く紹介されていませんでしたが、車窓からは一家総出でチマキを作っている店をずいぶん   見かけました。   中国全土の料理大会で賞をとったという広東風チマキ専門店『県湖山牌』で食べたチマキには、   緑豆がたくさん入っていて、豚肉の油が米に溶け出して、すこぶる美味なものでした。台湾のチ   マキは笹の葉で包んで、広東のチマキは竹の皮で包むものと思っていましたが、こちらの広東風   チマキは真っ青な笹の葉に包まれていて、とてもよい香りがするのです。
 

 
”『県湖山牌』のチマキ”

  あぁもう一度食べたくなってきたっ   さぁ、来週は中華街にチマキを買いに行くぞーっ 中華チマキの作り方はコチラ!


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