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ないでしょうか。前者は家庭科の調理実習で習ったりするポピュラーなスープ。後者は
正装をしてウヤウヤシクいただくゴージャスなスープ、そんなイメージ。
ところが、中華街にはフカヒレスープをもっと手軽に味わうことができるお店があるの
です。しかも、老舗名店のフカヒレスープです、ご存知でしたか?
上海路にある『桃花』は、2年程前にオープンした上海寧波料理の店で、若々しいイン
テリアとカジュアルな値段が魅力。このお店、実はフカヒレの姿煮やペキンダックで有
名な『華正楼』の系列店のため、『華正楼』モードのフカヒレスープをメニューに載せ
ているのです。白いカップでいただくカジュアルなスタイルながら味は本格的で、カニ
子が入っているのか?オレンジ色をしたとろみのあるスープにフカヒレの繊維が泳ぐス
ペシャルスープです。これで一人前1400円!ささやかな贅沢をしたいときにオスス
メします。中華街では一人前のスープを出してくれるお店は少ないので、カップルで注
文できるのもありがたいですね。
私はスープの他に、排骨高菜炒飯(骨付き豚ロースのフライがのった高菜入りチャーハ
ン)や小籠包を頼んだりします。美味しいです。
一方、3人以上(できれば5、6人以上)集まったときは、料理を頼む際ぜひスープを
加えてください。おすすめは、このところ人気急上昇の酸辣湯(広東語:スーラートン、
北京語:ツァンラータン)という具沢山のスープ。
もともとは四川料理のスープなので、広東料理店の多い横浜中華街ではあまり見かけな
かったのですが、最近はすっかりポピュラーになってきています。
ちょっと酸っぱくて辛いところが食欲を刺激してくれる、飲みやすいスープですので一
度お試しを!
「酸辣湯なら知ってるよ、もっと他にないの?」とおっしゃるアナタには、個々のお店
の隠れメニューの中からユニークな名物スープをご紹介しましょう。そのかわり、予約
が必要だったり、季節限定だったり、いつでも注文できるわけではないので悪しからず。
ユニークなスープ、といえばこちら。
器いっぱいに黒いドロドロが溢れている海苔のスープです。こちらは福建路にある『慶
福楼』で福建省の家庭料理コースを予約したときに出していただいたもので、見た目は
グロテスクだけれど磯の香りがして美味しかったなぁ。
福建料理はコースの中にスープが何品も入るのが特徴なのだそうで、スープの種類がと
ても豊富です。福建料理を出してくれるお店は『慶福楼』のほか『東林』等何件かあっ
て、リクエストすれば牡蠣のスープやマテ貝のスープ、魚の団子スープなどを作っても
らえます。(交渉してね)
最後は、うっとりするような贅沢スープの話です。

「佛跳牆」(広東語:ファッティウチョーン)というスープを知っていますか。漢字か
らある程度想像ができますね。その昔、福建省で老酒のカメの中に山で採れた食材を入
れて焚き火をしていたところ、あまりの良い香りにお坊さんが垣根を飛び越えて食べに
きた、という意味の名前がついているスープです。
福建式の調理法は食材を直火で炊いて旨みを引き出すのに対し、お隣の広東省に伝わっ
てアレンジされた広東式の調理法では蒸すことで熱を加え、食材も山のものと海のもの
を組合わせた一段と豪華な内容になったようです。
以前、中華街大通りにある『大珍樓』で作っていただいた「佛跳牆」は、
フカヒレの姿/干し貝柱/干しアワビ/ツブ貝/ナマコ・魚の浮き袋/豚すね・髪菜/鶏・牛
すね・中国ハム/クコノミ・ヤマゴボウ/白菜の芯・椎茸
が入った超豪華版。
蒸して作るため、透明に澄んでいるそれはそれは美しいスープに、夢のような香り。口
に含むと…うーむ、私のつたない文章力ではスープに申し訳ないから、これ以上は書き
ませんっ。
ほんとうは、今回は紹介できなかったけれど、他にも沢山美味しいスープがあるのです。
ぜひメニューをじっくりみて、お店の人に相談したりして、これは!というアナタのス
ペシャルスープを見つけてください、思い浮かべるだけで心まで温めてもらえるような
至福のチャイニーズスープを。
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